ごめんね。
あの日のKenさんは
社長の、ご実家の防草シートを
ひとりで膝をついて貼っていました。

1人で暮らすお母さんの畑にも貼ってあげたい
けれど今は、まだ実家には帰れないとKenさん。
お互いに感染させる心配がなくなり
Kenさんのおしゃまな娘さん二人
の手を引いて、早く家族みんなで顔を見せて
あげれるといいですね。

剪定された色んなお庭をみておりますと
外に続く小道、生垣、どこか似たような
景色でふと子供の頃に暮らした家を
思い出すことがあります。
陽だまりの匂い、木々の匂い
まで鼻を通り抜けていく様です。
台所では母が夕餉の支度を
しています。
厳しい父のせいか、母はいつも
ひとり背を向けて台所に立っていました。
あれは小学生の頃だったか
摘んできた野の花をクロレラの瓶に
挿して台所の窓に置いておくと
母が振り向いて笑ってくれたのを
覚えています。
去年の2月亡くなった母に
いつも、それくらいの事しかできなかったのは
母の心の強さを超えられなかったからかなぁ。
ごめんね。
お母さん。
