紫陽花とおじさん

あの日は6月というのに肌寒く、雨のせいかどんよりとした天気でした。
太宰府に来たばかりの頃、夫以外で話す人もなく、そればかりか
いつまでもいつまでも、悩みはつきず
そんな当たり前のことに暗い顔をしていた今から数十年前、、、。
いつものように大宰府政庁跡に散歩に出かけた。
平日の午前中でも、ぱらぱら人はいるけど
この日はこんな天気のせいか誰も
いないような気がしていた。
ひとり、傘をさして紫陽花をぼーっと見ていると何メートル先から
これまた定年退職されたばかりという感じのおじさんが
ひとり私を見ているような気がする。
私が動いてお寺近くの紫陽花を見ていると
おじさんも何故かこちらに来る。
再び私が公園の中に入っていくと何メートルの距離か保って
そのおじさんもついてくる。私があやめ池の休憩所
(勝手に私が名付けている場所)に腰を下ろしても
おじさんは立ったまま私を見ている。
その目がとても優しかったので、全然、恐怖はなかったけど、、、。
私が政庁跡を離れて帰路についている途中までおじさんは見ていた。
そして、後ろを振り向くとなぜかほっとした顔をして帰って行った。
その事を夫に言うと、夫は笑い出し、「あんたがどーせ
思いつめた表情で紫陽花を見よったんやろ そのおじさん
あんたが川にでも飛び込ませんやろかと心配で監視してくれよったんよ。」
確かにそれが一番近い感じの出来事だった。
あれから、おじさんを見かけた事はないけど
おじさんが私を見たところであの時の娘とわからないほど
しっかり体重も増え、夫、子供をしかり飛ばし
勤め先の社長さんにまで、檄を飛ばしているしまつ、、、
心配してくれてありがとうございました。
相変わらず人間関係は苦手ですが
太宰府のたくさんの樹木や花達には知り合いができ
この季節のあの木、あの花と逢いたくなります。
なんとか、元気にやっています!!

